minayuyu2019’s blog

Life is what happens to you while you're busy making other plans.

まかせて生きる

いっぴきの でんでんむしが ありました。


あるひ そのでんでんむしは たいへんなことに きがつきました。
「わたしは いままでうっかりしていたけれど、

わたしの せなかのからのなかには かなしみが いっぱいつまっているではないか」

このかなしみは どうしたらよいでしょう。


でんでんむしは おともだちのでんでんむしのところにやっていきました。
「わたしは もういきていられません」と そのでんでんむしは

おともだちにいいました。
「なんですか」と おともだちのでんでんむしは ききました。
「わたしは なんという ふしあわせなものでしょう。わたしの せなかのからのなかには かなしみが いっぱいつまっているのです」と

はじめのでんでんむしが はなしました。

 

すると おともだちのでんでんむしは いいました。
「あなたばかりでは ありません。わたしのせなかにも かなしみは いっぱいです」

 

それじゃしかたない とおもって、はじめのでんでんむしは、

べつのおともだちのところへ いきました。


すると そのおともだちも いいました。
「あなたばかりじゃ ありません。わたしのせなかにも かなしみは いっぱいです」

そこで、はじめのでんでんむしは またべつのおともだちのところへ

いきました。


こうして、おともだちを じゅんじゅんにたずねていきましたが、

どのともだちも おなじことを いうのでありました。


とうとう はじめのでんでんむしは きがつきました。


「かなしみは だれでも もっているのだ。わたしばかりでは ないのだ。 

わたしは わたしのかなしみを こらえていかなきゃならない」


そして このでんでんむしはもう なげくのをやめたのであります。

 

                                               『でんでんむしの かなしみ』    新美南吉

 

 

はじめのでんでんむしは きがついた

“気がつく”ということの意味は大きい

どうにもならないことを嘆いたりはしないで

堪えて生きるという

“さとり” 

 

 

この世において、どんな人にもなしとげられないことが五つある

一つには老いゆく身でありながら老いないということ

二つには病む身でありながら、病まないということ

三つには死すべきで身でありながら、死なないということ

四つには滅ぶべきでありながら、滅びないということ

五つには尽きるべきものでありながら、尽きないということである

                                                                                                  (仏教聖典

 

人はこの世に生を受けた時から

肌身離さず命の使用期限が無くなるまで持ち歩く”真理”

あのでんでんむしが生まれた時から背負っている殻のようなものである

 

 

あなたの“から”のなかには なにがある?

 

 

 

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