人は
自分からは離れられない
逆に、人は自分と本当に一緒にいることも
できない
自分と一緒にいると思いながら
実のところ自分と離れて生きていることが多い
その自分と離れている距離は普段の生活の中では なかなか見えてこない
だから、私たちは、離れていることにすら気づかないで生きている
何かのきっかけで距離が縮まったときになってはじめて
自分が自分から離れていたことがわかる
いつのまにか慣れ親しんで見えなくなっていた自分の古い解釈が見えてくる
自分から離れていた自分は
自分よりもいつも先にばかり進んでいた自分であったり
自分以外のものを自分だと思い込んでいた自分であったり
自分を自分以外のもので支えざるを得なかった自分であったり
自分を他人に合わせることばかり考えていた自分であったり
さまざま
ずれてしまった解釈のせいで なかなか自分に近づけないでいる
もし、毎日の生活の中で 自分との距離を感じることができたならば
そのときは、古い解釈を再検討するいいチャンスである
一度自分から離れて 自分らしくなかった自分にちょっぴり絶望して
そしてこころの純粋な動きに耳を澄ませばいい
そうすれば、きっと、新しい解釈が見えてくる
いままで見えなかったものが見えてきたり
いままで気づかなかったものに気づいたりできる
その主観性を深くするために
反省や自己嫌悪
うしろめたさ
イライラ 不安 落ち着きのなさを感じたとき
これらはみんな こころの純粋性が発するメッセージ
自分との距離の違いを伝えたい このメッセージに気づいたら
そのときにあらわれてきた いくつかの異なる自分の中から
肯定できる自分
誉めてあげられる自分
みじめにならない自分
すっきりする自分など
ポジティブな自分を探し出せばいい
それがほんとうの自分に近い自分なのである
自己実現は
特別な能力を必要としない
ただただ 自分がじぶんと正面から向き合えばいい
禅語に 「把手共行」という言葉がある
共に手をとりながら人生をいく
誰と手をとり合うのか
それは今いる自分と こころの中にある自己（じぶん）
二人の自分と（じぶん）が手をとり合うことなのである
遠くへ旅をすれば”じぶん”が見つけられるという
旅などしなくてもちゃんと”じぶん”は見つけられる
自分の一番傍に”じぶん”は離れずにいる
わざわざ遠くへ行かなくても
自分探しの旅はできる
ひとは自分探しの旅をして
新しい自分とやらに逢いたがるけれど
その新しい”じぶん”は足下にある
