minayuyu2019’s blog

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億り人、1ドル=150円台も視野 現預金抑え、海外シフト

投資家1000人調査(中)

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2022年の波乱相場を金融資産1億円超えの「億り人」はどう乗り越えてきたのか。日経ヴェリタスは調査を通じて億り人に「9月末時点において、21年末と比較して金融資産は減少したか」と聞いた。すると、「ほとんど変わらない」もしくは「増えた」という回答が7割を占めた。億り人は22年の波乱相場をうまく乗り切ったということなのか。

億り人、現預金は資産の3割のみ

実態を探るため、資産ごとの平均保有額と人数を掛け合わせて仮想のポートフォリオを作った。500人の億り人と500人の一般投資家との違いとして、まず目につくのは現預金の比率だ。億り人は保有資産に占める現預金が31%しかなく、一般投資家(52%)を大きく下回る。日本の現預金の金利はほぼ0%。波乱相場の中でも「ノーリスク・ノーリターン」の現預金に逃げ込まず、リスク資産への投資を続ける姿が浮かび上がった。

だが、9月末の日経平均株価は昨年12月末に比べ10%安い。日本株に投資しても利益は出にくい。それでは何に投資していたのか。億り人が選んだのは海外資産だ。22年春に米連邦準備理事会(FRB)が利上げを開始し、緩和姿勢を維持する日本との金利差が拡大して円安・ドル高が進行している。株安は世界的な傾向だが、ドルなど外貨建ての資産で運用し、円建てでの評価減をヘッジしてきたというわけだ。

22年に億り人が増やした資産に注目してみる。「外国債券」「海外不動産投資信託REIT)」「外貨預金」などを増やしたとする億り人の回答が一般投資家を上回った。国内外の株式に集中するのではなく、幅広い海外資産に分散投資する姿勢がうかがえる。

兵庫県在住で、投資歴20年以上のベテラン投資家であるROIさん(ハンドルネーム、58)は、22年に外国債券に運用資産を移した億り人の1人だ。年初から始まった株価の急落で、15年に中国株の下落が世界に波及した「チャイナ・ショック」で資産を減らした苦い経験がよみがえった。「ずっと株価を見ていられない以上、急落には反応しきれないと考えた」と話す。

3割が1ドル=150円より円安進むと予想

こうした状況から、ROIさんは価格変動や元本割れのリスクが小さい米国債を選んだ。円建ての運用益を大きく左右する円相場については「為替介入の効果は限定的で、1ドル=155円を目指すのではないか」とみている。

ROIさんは極端な円安派ではない。調査を実施したのは円相場がまだ1㌦=140円台前半で推移していた9月中旬にもかかわらず、億り人に23年3月末の円相場の予想を聞いたところ、150円以上の円安・ドル高になるとみる人が合計で28%に達した。

様々なリスク資産に触手を伸ばす億り人だが、借り入れリスクには敏感だ。「投資は自己資金を投入する」と回答した億り人は52%で、一般投資家(40%)を大きく上回る。金融機関からの借り入れを利用すると回答した億り人はわずか7%だ。外国為替証拠金(FX)取引など元本以上の金額を取引するレバレッジ投資も7割が「していない」と回答した。

投資の基本スタンスは長期

億り人が現在の資産を築くまでにかかった期間は15年~30年未満が38%、これに30年以上の回答を加えれば61%に達する。だからこそ、投資の基本スタンスは「長期目線」とする回答が最多だ。1つの銘柄を1~5年ほど保有すると回答した億り人が42%、5年以上保有するという回答も21%あった。

長期目線の億り人は足元の株安に動じず、むしろチャンスだと捉えることが多いようだ。株価下落時に、追加投資で平均の購入コストを引き下げる「ナンピン買い」をしたという回答が20%を超え、一般投資家(14%)を上回った。一方、損切りをしたとの回答は19%にとどまり、一般(24%)を下回った。埼玉県在住の島内悟さん(仮名、50)は「下落局面で自信を持って買い増しできる銘柄だけしか保有しない」と語る。自らの目利き力への自信が揺るがぬ姿勢につながっている。

では、億り人はどのような銘柄を選んでいるのか。億り人の37%が保有し、資産の9%を占める米国株の上位には、アップルやアマゾン・ドット・コムなどの巨大テック企業が名を連ねた。一方、少数ながら目立ったのが、エクソンモービルコカ・コーラプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)など米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が保有する「バフェット銘柄」だ。億り人も割安株への長期投資を得意とする「オマハの賢人」の考えを参考にしているようだ。

外資産への投資は、裏を返せば円安で減価する円建て資産からのキャピタルフライト(資本逃避)ともいえる。

東京都在住の大島智雄さん(仮名、55)はリーマン・ショック時に購入した国内REITで大きく資金を増やしたが、今はその大半を米国株に投じている。海外での勤務で日本の低成長を実感し、「人材が流動化しない日本の企業にも成長を期待することができない」と話す。今後も米国株への投資を続けるという。

(吉田貴、福井環)